2012年8月21日火曜日

Blog-(32) 隣人、漢民族。

Blog-(32) 21-8-2012: 「隣人、漢民族」  最近、日本の近隣が、やけに騒がしくなってきた。北方四島、竹島、尖閣諸島のことである。ロシア、韓国、中国、台湾、共に「国権」の問題としてよりも「欲の皮」が突っ張った「主張」が原因で連鎖反応を起こしている。ロシアには「金が無い」、韓国は「金が欲しい」、中国は「海底資源」に眼が眩んだ結果であり、それに便乗して騒いでいるのが「漢人系台湾人」と「金で動いている」香港系である。この騒動の中で、最も危険な中国、漢民族の「中華思想」について私見を述べる。  漢民族の起源はよく解らないが、約六万年前頃、北京の北方「周口店」付近に居住していた「北京原人」が始祖らしいと云われている。漢人の遺伝子は、およそ4個から5個、朝鮮半島系も同じ数だが、日本人の27個に比べて非常に少なく、この4個の遺伝子配分を持っている「人種」を「漢民族」と呼んでいる。しかし、中国大陸に住む漢人は、地域によってまるで異なる「方言」を話すし、体格や性格にもそれぞれ特徴がある。北方系は大柄で、「鷹揚、のんびり」型。南方系は、小柄でせっかち、その上非常に短気で怒りやすい。彼らの方言は、北方から「北京語」、「上海語」、「寧波語」、「湖南」、「福建」、「潮州」、「広東」、「雲南」、「客家」、等々、彼ら同士で「会話が出来ない」ほど異なった方言を話すので、到底彼らが「同一民族」であるとは思えない。   しかし、彼ら全般に共通しているのが「中華思想」である。中華思想の淵源は、西暦221年に秦の始皇帝が「漢民族」を統一して漢人帝国「秦」を建国した折に、紀元前5世紀頃、孔子が説いた「五輪五常の教え」を中華思想として、秦帝国の国是とした事に由来するらしい。その後、幾多の変遷を経て、今日の「中華人民共和国」に至っているのだが、異民族である蒙古族、満州族に支配された350余年間も営々として、この中華思想だけは保ち続けてきた。  では、中華思想とは一体全体「何もの」であるのか? 一言で表現すれば「自分たち漢民族が世界の中心で、すべての文化は自分たちが発信している・・・」とする考えである。彼らに云わせれば、漢民族以外は、すべて文化程度が低く「獣の類」であるとする「唯我独尊」的な鼻持ちならない思想である。我々日本人は、朝鮮人と共に「東夷」(東方に住む未開人)であり、西域人は「西戎」(西方に住む猪)、北方人種は「北てき」(北の野獣)、東南アジアや西欧人は「南蛮」(南方の蛮族)である。従って、まともな人間である漢人の国「中華帝国の行為」はすべて「正」であり「善」であって、周辺諸国の「野獣や蛮人種族」は、中華の中心をなす「漢民族」に従属して「朝貢」をするのが当然である、としてきた。  確かに漢人が誇る「中華思想」には、それなりの理由があった。人類史上の三大発明、火薬、羅針盤、印刷機、は漢人の発明であり、車輪も漉き紙も、あのややこしい「漢字」も彼らの工夫であり、万里の長城を作る実力もあり、国家行政を「科挙試験」の合格者で組織化したのも彼らであった。西欧、近東、東アジアが、未だ混沌としていた時代に、秦、宋、隋、唐、元、明、清、と次々に「帝国」を成立させてアジアに君臨してきたのも史実である。  しかし、彼らの「帝国」の終焉は、すべて一致している。各帝国崩壊の共通点は、無能な「皇帝の継承」とすざましい「官僚汚職」に抵抗する「底辺民衆」の反乱が原因であった。その上、中国の歴代「帝国」には、漢民族としての「継承性」が無く、往々にして野盗の類が時勢に乗って皇帝になった。新帝国は、前帝国の歴史すべてを否定することから発足するのも常態であった。底辺民衆の反乱とは、蒙古政権「元」の崩壊原因となった洪秀全の「紅巾の乱」、明代の鄭成功の反乱、清の太平天国、義和団、武昌起義と辛亥革命が起こり、その間、西欧列強、帝国日本が中国大陸に侵攻したために清国が崩壊した。すると、地方軍閥が乱立して国内が騒乱状態になり、広東軍閥の蒋介石、共産党軍閥の毛沢東と劉少奇たちに日本軍が絡み「三つ巴」の内戦になった。その後、帝国日本が米国との戦争に敗れたために、蒋介石軍と毛沢東軍の決戦になったが、蒋介石軍の首脳部と官僚たちが棲ましい汚職に塗れた事で、継戦能力を失った蒋介石軍が敗退して台湾へ逃亡したために、毛沢東たち共産主義者の「中華人民共和国」が成立した。建国と同時に国内の権力闘争が始まり、東北地方の雄、嵩岩が破れ、林彪が死亡、劉少奇が獄死して、毛沢東が天下を取った。その間、共産党が国家建国の英雄譚とする延安への「大西遷」(長征)が、実は圧倒的な蒋介石軍からの逃避であり、彼らが誇る道中での「人民解放」が、実際は共産党首脳と共産軍温存のために、途上の地主や資本家から食料、財産を略奪して、運べない土地のみを小作人たちへ分配した、という真相が判明してきた。建国後は、国家としての収奪が始まり、組織的に地主、資本家を「人民裁判」にかけて殺害して彼らの財産を国家として簒奪した。その死者数は二千万人以上と云われている。その後、毛沢東の農政指導の失敗から、農民を中心に三千万人が餓死した。その結果、政府首脳部の反毛勢力が増えてくると「文化大革命」と称して、子供たちを利用して全国を巻き込んで「反毛勢力」を駆逐する大騒動を起こして「親毛勢力」の温存をはかった。その時、共産革命の盟友であった劉少奇を始めとする無数の古参党員のみならず、無辜の庶民たちまでをも巻き込んで「造反有理」(反乱にも理がある)の掛け声で殺害した犠牲者は、三千万人に上るとされている。毛沢東の自然死後、彼ら「革命指導者たち」の最後の一人「とう小平」が死ぬと、「太子党」と呼ばれる革命指導幹部の子弟たちが、親のコネを使って「利権集団」を作り蓄財を始め、政権枢軸を支配し始めた。その専権勢力に対抗するために、実力で這い上がってきた「共青団」(中国共産主義青年団)出身グループとの権力争いが始まったばかりである。  統計上13億人を超えた「人民」の八割が貧困層であり、国富の80%以上をたった3%の富裕層が支配しているのみならず、1979年に開始された「人口抑制政策」(一人っ子政策)により、一千三百万人以上の「黒ハイズ」と呼ばれる「無戸籍者」が発生し、農地を失った農民、二億三千万人が職の無いまま「農民工」(流民)となって国内を徘徊している。その上、一般的に「反政府的」だと云われている「少数民族」、チベット、ウィグル、チワン、回族、満州族、等、55種の少数民族が合計一億人近くも住んでいる。北京政府の弾圧に反対して「焼身自殺」を繰り返しているチベット族、漢族の侵入に抵抗するウィグル族、等々、何か「政変のきっかけ」があれば「独立を企てる」少数民族の存在と農民工、無戸籍者たちは、「潜在的反政府勢力」であり、現在の共産党政権にとっては最大の危険分子であり、決して眼が離せないのが現実である。現在の中国政府が最も警戒しているのが、社会底辺で大衆の支持を獲得しつつある新興宗教団体「法輪巧」で、歴史上の革命勢力の始源となった「紅巾」、「太平天国」、「義和拳」等の革命的宗教集団に発展することを恐れて、徹底的な弾圧を加えているのが現状である。  それに加えて、中央政府のみならず地方政府の官僚たちまでが自分たちの官権を利用した、棲ざましいばかりの「汚職」を繰り返す壮絶さは、すでに歴代帝国終焉期の規模を遥かに超えてしまった。今年一月六日、共産党、党規検査委員会の発表によると、「90年代半ばから2008年にかけて二万人弱の汚職官僚が国家資金、日本円換算で約12兆円を持って海外へ逃亡した」と発表した。しかしこの数字は「氷山の一角」に過ぎず、もっと多くの官僚たちが何らかの方法で不正貯蓄をした膨大な資金を海外に逃避させている。これが現在中国の実状であり、人口の底辺を構成している29%、三億五千万人余りの「人民の不満」は、すでに限界に達しており、その「ガス抜き」に国内の不満の捌け口を「反日」で晴らさせているのが現状である。  小筆のもう一つの「心配事」は、中国軍部の台頭である。朝鮮戦争で連合軍と戦った経験を持つ軍人はすべて引退乃至は鬼籍に入り、すでにいない。その後、育った「実戦を知らぬ軍人たち」が現代中国の軍を動かしている。彼らは「理論的エリート軍人」として軍の中枢を占めているが、軍は「共産党の私軍」であり、指揮権は党中央の下に置かれている。彼らにとって面白くない事は、彼ら自身も「太子党」や「共青団」の一員であるのに「党幹部」の指揮下に置かれている現実に不満を抱いている事である。彼らには武器があり、兵隊がいる、それを使えば「政府転覆」などは「朝飯前」の行動である。あと5年もすれば「小皇帝」と云われる「一人っ子政策」で我儘の限りを尽くして育った世代が天下を取る時代に入る。その折に、軍の鬱憤を晴らすために、彼らが「暴発」しないという保障は無い。クーデターに始まり、対外戦争を引き起こす恐れは充分にある。その対象がインドになるかベトナムかロシアであるか、或いは日本になる可能性も排除出来ない。核兵器を持った狂人国に変化した時の「中国」を恐れるだけではなく、その「対抗策」を今から充分に準備することが肝心であることだけは間違いない。  こんな事を考えながら「平和なシドニー生活」を楽しんでいるだけでなく、不甲斐無い民主党政権の行く末も併せて思索しながら、悶々の内にも日々ワインだけは楽しんでいる。 小筆のブログ通覧は http://goushutaro.blogspot.com/ で「豪洲太朗のシドニー通信」を検索、連絡は kentokura@hotmail.com へお寄せ下さい。

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