2011年2月26日土曜日

天を仰いで嘆息す・・・、

天災続きであったオーストラリアがやっと落ち着いたと思ったら、今度はお隣のニュージランドで大地震、なんとも神様もご多忙な事である。さて、秋めいて来たシドニー、訪日を控えて何かと多忙だが、それよりも何よりも日本の政局の騒がしさが気になって仕方が無い。この国家浮沈に関わる重大時期に、衆参両院合わせて722人もいる議員たちが、政局そっちのけで派閥闘争に明け暮れ、無益な意地の張り合いをしているのだから、国民はたまった物ではないと同情している。
 日本の「重大事」とは、一に「財政赤字」、二に「安全保障」、三に「低迷景気」、四に「国家目標の亡失」、五に「教育再生」、そして最大問題として「政治不信」が挙げられる。どのひとつを取り上げても、日本国の近未来に関係する重大問題で、与野党一致団結して、挙国体制で取り組まないと解決不可能な重要問題ばかりである。それなのに、彼らにはその認識さえなく、不毛でピント外れの質疑応答ばかりを繰り返しているのが現状。企業経営に、日々生命を削っている経営者たちから「税金泥棒」と云われて当然だと思う。
 与党、民主党の内紛と野党の不甲斐無さ、それに数ある野次馬政党の無能さ加減に、日本国民のみならず国際社会までもが、あきれ返っている実情を認識すべきである。賢明なる日本国民諸氏よ、この世界に恥ずべき状態を招いたのは、他ならぬあなた達自身が「無責任な投票で彼らを選んだ結果である」と自覚すると同時に大いに反省してもらいたい。
 今回は、まず第一に2009年に民主党が掲げた「マニフェスト」(政権公約)からお浚いをしたい。公約とは、国民から「政権」を与えられたら「必ず実行します」という神聖なる「契約条項」である。民事契約なら、不履行の場合は当然「解約」と「賠償」の対象になり、契約当事者から外されるのが常識である。
 この常識を念頭に、次の9項目にわたる「民主党マニフェスト」と「細則」を見てみたい。(1)子供手当てと出産支援、 (2)公立高校実質無償化、(3)年金制度の改革、(4)医療介護の再生、(5)農業の戸別補償、(6)ガソリンの暫定税率の廃止、(7)高速道路の無料化、(8)雇用対策、(9)後期高齢者医療制度の廃止、大学奨学金の拡充、最低賃金引き上げ、中小企業支援、等々で、それに加えて細則として謳ったのが、税金の無駄遣い、天下りの根絶、議員定数80人削減、企業団体献金の禁止、アジア諸国との連携、等があった。 「鳩山民主党」は、この公約を自らの顔写真と共に、誇らかに掲げて衆議院選挙に臨み、自公政権を倒して政権の座を入手した。以来、すでに一年半、さぁ、どの項目が達成されたか、○×で答えてほしい。答えは明確、見事に[Non](ナン、皆無)である。国民の大きな期待は完全に裏切られたのである。
 実現不可能な公約を誇張して掲げた責任、財政的な裏づけが無い杜撰な政策目標、大局と世界情勢を見誤った外交、等々を掲げた事も無責任な話しだが、もっとひどいのは「公約」で約束したガソリン暫定税率廃止を、信じられない事だが、政権発足直後に自党の幹事長からのねじ込みで、いとも簡単に放棄したことである。子供手当ての減額も、高速道路の無料化もまやかしでお茶を濁している、あれだけ意気込んでいたダム建設廃止も、今では誰も口にしない。これらの公約不祥事は、すべて財源難が原因で、その後も次々と続いている。
 この公約不履行をそっちのけで、自党の一部が倒閣活動に入っている政権与党。自分たちで作った年度予算不足を補うために借金だけでは足りず、「消費税」の増率さえも計画しているのが実情だ。
 日本国憲法、246条(刑法) に「人を欺もう(あみがしら+亡)して財物を編取したる者は10年以下の懲役に処す」とある。要するに出来もしない公約を掲げた政党から出馬して国会議員になり、歳費を貰い、政党助成金を受けている議員と、その公約で「政権」を取った政党が「公約不履行」した場合、「自己の利益のために他人を騙した」ことになり、刑法でいう「詐欺罪」に該当する。まして公約を信じて投票をした選挙民の承諾なしに「公約」を変更するなんて、契約違反のみならず完璧な「詐欺行為」、重大な犯罪行為といえよう。
 現在の日本では、こんな「無法」が常識として罷り通っている。国際社会で信用が失われ、日本国債の格付けが下がるのも当然である。
 一体全体、民主党政権は何をしているのか?  Yes, 総理が代わり、幹事長を代え、内閣改造をした。しかし、代わった前総理は引退宣言を取り消す事も無く、沖縄基地問題で不穏当な発言を繰り返して不信を買い、親から貰った政治資金の説明約束を反故にし、今では後継内閣倒閣に暗躍しているらしい。元幹事長は大議員団を誇らしげに引き連れて北京詣でをしたのはよいが、その足でオバマ大統領参りをする積りが拒絶された。韓国では日本の皇統に関する不穏当な発言をして国際的な顰蹙を買い、公言した国会での資金疑惑説明も頬かむりで、強制起訴された上に、党紀違反で党員資格停止処分を受けたが、これにに不服を唱えている。ご両人共に、未だに勝手な発言を繰り返していて、要職から「自分たちが失格」した、という自覚がまるでない。
 こんないい加減な政治家を誰が信用するのか? それが摩訶不思議な事に居たのだ、16+1人、いや潜在的にもっといるばずだが、彼らに追従しようとしている議員グループだ。国家再建に無関心な国会議員、国民の付託に答えられない両院議会、政策討議が出来ない立法府、大義を亡失して保身に走る議員たち、国民はそんな彼ら一人ひとりに年間一億円近い血税を払っているのだ。政府支持率の急落は当然である。
 自民党総裁は、民主党政権を倒閣に追い込み「総選挙」で政権奪回を画策している。しかし、現在の彼らの陣容と才覚で、この「国難」を乗り切れるのか、それよりもどんな「国家百年の大計」を描いているか、大いに疑問である。
 日本の不況は、いわゆる「贅沢社会」がもたらしている「消費減退」が主因である。国民のすべてが「欲しいものが無い」のである。彼らの「買い替え消費」に頼るには、余りにもパイが小さすぎる。特に高齢者は「無駄金」は使わないものである。新規需要の喚起には、国民の欲しがる「新製品」を作り出さなければ購買意欲は湧かない。内需喚起が不可能なら、外需、それも世界に冠たる中小企業のハイテク製品の輸出振興に注目すべきである。大手企業は自前で何とか輸出も出来るが、町工場では手に負えない「輸出振興」と「貿易事務」を組織的に支援する組織を作るべきである。期待していた「国家戦略局」構想も消滅した今、経済再生のキーとして中小企業振興も視野にいれるべきではないか?
  昨日のニュースで、「菅内閣打倒」の動きが急ピッチで進行中、とあった。この策謀の中心人物が誰かは知らないが、今の与党にも野党にも、この難局克服を指導できる人材がいるとは思えないし、事実その経綸を述べる政治家も見当たらない。という事は、彼らのすべてが「野次馬」であり、「国家経営理念」を述べる事なしに、闇雲に内閣打倒を囃し立てているだけだ。うるさい野次馬は、蹴っ飛ばされ、売れない批評家は収入が減るが、騒ぎ立てるだけの国会議員でも、歳費だけは保証されている。何とも不合理な日本ではないか・・・、
 欧米諸国では、あらゆる政府支出を述べる時、必ず使われる言葉に、[This is Tax payers money](これは納税者の金である)がある。このStatesmanの謙虚な精神が財政支出を真剣に考える根拠になり、血税の無駄遣いを制する根源になっている。しかし、日本ではどうか?  歳入が大幅に減り、歳出を削れなければ、安易に国債を発行して取り作らう、それでも足りないから増税をする、こんな事しか出来ない議員たちに、とんでもない額の歳費と血税である政党助成金などを払う価値があるのか?
 こんな思いを胸に秘めながらの訪日は、誠に辛いことではあるが、春の兆しに萌える若葉の季節、運よくば、初桜に巡り会えるかと期待しつつ旅立ちの準備をしている。そう、もうひとつ、「初鰹の刺身で冷酒一杯・・・」、という事もあった。
緊急連絡は、090-3008-7549. 4日から20日まで、

2011年2月12日土曜日

地球に一大異変が・・・

どう見ても地球全体が異状を来たしているとしか思えない「気象異変」が続いている。こんな異常事態が続いていては、果たして今8ヵ月を迎えたばかりの初孫レネーが成人するまで、この地球がもつのかどうか、心配でしょうがなくなってきた。杞憂であって欲しいと願いながらこのトピックスを書く。
 まずオーストラリアの現状である。小筆がこの大陸に来着したのが32年と4ヶ月前、ちょうどオーストラリア全体が旱魃の最中で、農産物や牧草が枯れて、飼料のなくなった農家は羊や食肉牛を殺処分していた最中であった。その後、10年まえ前後から微量の降雨が見られるようになったが、基本的には旱魃状態が続いて、主要河川の減水が続き、全国規模でブッシュファイヤー(山火事)が頻発した。
 しかし、3年前から旱魃地帯に異常な豪雨が降り始めて洪水騒ぎに転じた。一昨年には、オーストラリア最大の河川、マレー・ダーリン河が度々氾濫して各地流域に洪水を起こし始めた。昨年12月初旬に降り始めたクィーンズランド州(QLD)の雨は、広大な旱魃地帯を洪水で覆うまで降り続いた。その面積は欧州全域に等しい範囲だそうだ。それに引き続いたクリスマス時期の豪雨は、内陸部の地方都市を鉄砲水で襲い、70名近い死者を出した。ある死体などは彼の村落から80kmも離れた下流で発見された。小田原から東京まで流された計算になる。
 すべてのインフラは止まり、停電は一瞬にして文明生活を野生に戻した。皮肉にも淡水の海の中で「飲み水」に窮する生活が始まった。被害者のほとんどが外界との連絡を携帯電話に頼っていた。しかし、停電は「充電」という機能を奪ったために、文明社会との連絡手段が断たれた。流水に流されてワニや毒蛇、無数の害虫が、人間が避難している高台や屋根に流れ着いた。農地は一面に水没して家畜たちは飢え始めた。オーストラリアの農産地帯、特に砂糖キビ畑は壊滅状態になり、露天掘りをしている炭鉱のほとんどが水没した。世界の70%に近い燃料炭を賄う産地である。日本のみならず世界中の電気代の高騰は間違いない。その上、クリスマスには超大型のCyclone「ターシャ」が襲い、2月3日、4日には超超大型Cyclone「ヤシー」が、瞬間風速165kmの猛スピードで同地方を駆け抜けた。 QLDの首府、ブリスベンの側を流れる「ブリスベン川」も洪水に襲われて、ビジネス街の中心部が完全に水没した。5.6mの増水で川岸にあった有名なレストランがそのまま川流に飲み込まれた。これも史上始めたのことだそうだ。
 この期間、Ⅰ千km南方に位置するシドニーは、連日36度を越える湿度の高い猛暑に襲われ、その酷暑は2週間も続いた。これも観測史上初めてのことだそうた。シドニー西方320kmにあるカウラを流れるラクラン川は、60年余りも川底を晒していたが、今回の豪雨で12m上にある橋桁を流水が洗ったそうである。
 メルボルンも例外ではなかった。一昨年前までは、毎年山火事に恐れおののいていた乾燥地帯が洪水に襲われ、住民はなすすべも無く屋根に上り救助を待った。西オーストラリアでは、異常な大気乾燥が続き、数限りない山火事で多くの住宅が塵灰と化した。
 オーストラリアの主要農産地を襲った洪水は、シドニーにも食料品の高騰で影響を与えた。まず、1kg 、$1.40前後であったバナナが$6近くに暴騰、果物、野菜、食肉の軒並みに4-5倍に高騰した。食パンの値上がりも予定され、ジュース、牛乳等の飲み物もいずれ値上がりするとの予測で、市民生活への影響は計り知れないものがある。

 世界の異常気象の兆候は、20年以上前から顕著になっていた。まず最初に、スイス・アルプスの氷河が後退し始めた。1991年8月、当時付き合っていたスイス人女性ディザイナーが休暇で故郷に帰った時、電話で自分が住んでいた時期には村のすぐ側まであった氷河が消えてなくなったので驚いた、と云ってきた。ちょうどスイスのエッツ氷河の融解で5,600年前の「アイスマン」が発見された年である。翌年1月、出張でドイツのフランクフルトに行った時、アルプスの異常高温で雪が溶けマイン川が氾濫寸前になっていて恐しい思いをしたことがあった。その後も欧州の夏冬を問わない異常気象は続き、今日に至っている、
 以後、アルプスのみならず、ヒマラヤの氷河湖の融解による崩壊が心配され、バングラディッシュとパキスタンは巨大な鉄砲水の来襲に恐れおののいている。シベリアの永久凍土が溶けてマンモスの死体が現れ、北極海の氷が溶け出して15世紀の大航海時代以来捜し求めていた「北極海航路」が利用可能になった、とのニュースが続く。南太平洋の島嶼群の水位が年々上昇して、今では満潮時に生活圏まで海水に浸かるようになったそうだ。南極では雪棚が溶けたために地表が露出して苔が生え始め、氷棚から流れ出した四国くらいの大きさの氷山が、幾つもニュージランドの南端に接近したのも最近の話である。中南米での異常降雨と鉄砲水、地滑りによる大被害も報告され、今冬の北米の異常寒波は史上に例を見ないものらしい。中国南部の異常降雨と洪水の頻発はすでに常態化しており、日本の夏の異常高温もさることながら、今年の大寒波と異常降雪も、世界各地で頻発する地震と津波、地球規模で活発化している火山活動もただ事ではない。
 地球創造以来36億年、無限の星を有するこの大宇宙で唯一の緑の星「地球」、この奇跡の地球にたった5万年前に誕生した人類は、「火」を使うことで文明を育てながら、無数の動植物と共存してきた。そして260年前、人間は蒸気機関を発明して「化石燃料」の大量消費時代に入った。以来、地表の異変が進行しながら今日に至っている。もしかすると、この化石燃料イクオール「CO2」は、人類第二の「禁断のリンゴ」であったのかも知れない。
 エルニョーニョ、ラニーニャ現象、と聞きなれない言葉が新聞を賑わしているが、要するに地球上の異常気象の学者用語で、地球規模の気象変化に変わりは無い。誰が何と云おうと、地球全体の異常化は進行している。その行き着く所は不明であるが、年毎に住み辛い環境になりつつあることだけは確かである。米中両公害大国には関心が無い「CO2削減問題」も、鳩山元総理が国連で25%自主削減の大法螺を吹いたが、世界の指導者も日本の後継総理さえも、まるで興味を示さないで「空手形」に終わった。
 しかし、近来の異常気象の進行は現実であり、実際に多くの人間と動植物に災害を与え続けている。この現象を人類は「神の警告」として、謙虚に、そして真摯にに受け止め、叡智を絞って対策を講じる必要がある。この美しくて掛け替えの無い地球を、子孫のみならず、宇宙の奇跡として、永遠に存続させる努力をすべきである、と思うのだが・・・。
 今回、オーストラリアの全国規模的な大災害を見ていて、オーストラリア人が幸せであると思ったのは、ジラード首相も野党の党首も、QLDの州首相も、災害発生の翌日には連れ添って現地に入り、ヘリコプターで被害状況を実見し、次々と被災者と会話を交わしながら、矢継ぎ早に救済措置指令を出していたことである。真の「ステーツマン」の姿を見て感動したものである。と同時に、「果たして日本では・・・」と無い物ねだりをしてみたが、「所詮、無理な願いだ・・・」と諦めて自棄酒代わりのワインを飲み始めた。