2011年2月12日土曜日

地球に一大異変が・・・

どう見ても地球全体が異状を来たしているとしか思えない「気象異変」が続いている。こんな異常事態が続いていては、果たして今8ヵ月を迎えたばかりの初孫レネーが成人するまで、この地球がもつのかどうか、心配でしょうがなくなってきた。杞憂であって欲しいと願いながらこのトピックスを書く。
 まずオーストラリアの現状である。小筆がこの大陸に来着したのが32年と4ヶ月前、ちょうどオーストラリア全体が旱魃の最中で、農産物や牧草が枯れて、飼料のなくなった農家は羊や食肉牛を殺処分していた最中であった。その後、10年まえ前後から微量の降雨が見られるようになったが、基本的には旱魃状態が続いて、主要河川の減水が続き、全国規模でブッシュファイヤー(山火事)が頻発した。
 しかし、3年前から旱魃地帯に異常な豪雨が降り始めて洪水騒ぎに転じた。一昨年には、オーストラリア最大の河川、マレー・ダーリン河が度々氾濫して各地流域に洪水を起こし始めた。昨年12月初旬に降り始めたクィーンズランド州(QLD)の雨は、広大な旱魃地帯を洪水で覆うまで降り続いた。その面積は欧州全域に等しい範囲だそうだ。それに引き続いたクリスマス時期の豪雨は、内陸部の地方都市を鉄砲水で襲い、70名近い死者を出した。ある死体などは彼の村落から80kmも離れた下流で発見された。小田原から東京まで流された計算になる。
 すべてのインフラは止まり、停電は一瞬にして文明生活を野生に戻した。皮肉にも淡水の海の中で「飲み水」に窮する生活が始まった。被害者のほとんどが外界との連絡を携帯電話に頼っていた。しかし、停電は「充電」という機能を奪ったために、文明社会との連絡手段が断たれた。流水に流されてワニや毒蛇、無数の害虫が、人間が避難している高台や屋根に流れ着いた。農地は一面に水没して家畜たちは飢え始めた。オーストラリアの農産地帯、特に砂糖キビ畑は壊滅状態になり、露天掘りをしている炭鉱のほとんどが水没した。世界の70%に近い燃料炭を賄う産地である。日本のみならず世界中の電気代の高騰は間違いない。その上、クリスマスには超大型のCyclone「ターシャ」が襲い、2月3日、4日には超超大型Cyclone「ヤシー」が、瞬間風速165kmの猛スピードで同地方を駆け抜けた。 QLDの首府、ブリスベンの側を流れる「ブリスベン川」も洪水に襲われて、ビジネス街の中心部が完全に水没した。5.6mの増水で川岸にあった有名なレストランがそのまま川流に飲み込まれた。これも史上始めたのことだそうだ。
 この期間、Ⅰ千km南方に位置するシドニーは、連日36度を越える湿度の高い猛暑に襲われ、その酷暑は2週間も続いた。これも観測史上初めてのことだそうた。シドニー西方320kmにあるカウラを流れるラクラン川は、60年余りも川底を晒していたが、今回の豪雨で12m上にある橋桁を流水が洗ったそうである。
 メルボルンも例外ではなかった。一昨年前までは、毎年山火事に恐れおののいていた乾燥地帯が洪水に襲われ、住民はなすすべも無く屋根に上り救助を待った。西オーストラリアでは、異常な大気乾燥が続き、数限りない山火事で多くの住宅が塵灰と化した。
 オーストラリアの主要農産地を襲った洪水は、シドニーにも食料品の高騰で影響を与えた。まず、1kg 、$1.40前後であったバナナが$6近くに暴騰、果物、野菜、食肉の軒並みに4-5倍に高騰した。食パンの値上がりも予定され、ジュース、牛乳等の飲み物もいずれ値上がりするとの予測で、市民生活への影響は計り知れないものがある。

 世界の異常気象の兆候は、20年以上前から顕著になっていた。まず最初に、スイス・アルプスの氷河が後退し始めた。1991年8月、当時付き合っていたスイス人女性ディザイナーが休暇で故郷に帰った時、電話で自分が住んでいた時期には村のすぐ側まであった氷河が消えてなくなったので驚いた、と云ってきた。ちょうどスイスのエッツ氷河の融解で5,600年前の「アイスマン」が発見された年である。翌年1月、出張でドイツのフランクフルトに行った時、アルプスの異常高温で雪が溶けマイン川が氾濫寸前になっていて恐しい思いをしたことがあった。その後も欧州の夏冬を問わない異常気象は続き、今日に至っている、
 以後、アルプスのみならず、ヒマラヤの氷河湖の融解による崩壊が心配され、バングラディッシュとパキスタンは巨大な鉄砲水の来襲に恐れおののいている。シベリアの永久凍土が溶けてマンモスの死体が現れ、北極海の氷が溶け出して15世紀の大航海時代以来捜し求めていた「北極海航路」が利用可能になった、とのニュースが続く。南太平洋の島嶼群の水位が年々上昇して、今では満潮時に生活圏まで海水に浸かるようになったそうだ。南極では雪棚が溶けたために地表が露出して苔が生え始め、氷棚から流れ出した四国くらいの大きさの氷山が、幾つもニュージランドの南端に接近したのも最近の話である。中南米での異常降雨と鉄砲水、地滑りによる大被害も報告され、今冬の北米の異常寒波は史上に例を見ないものらしい。中国南部の異常降雨と洪水の頻発はすでに常態化しており、日本の夏の異常高温もさることながら、今年の大寒波と異常降雪も、世界各地で頻発する地震と津波、地球規模で活発化している火山活動もただ事ではない。
 地球創造以来36億年、無限の星を有するこの大宇宙で唯一の緑の星「地球」、この奇跡の地球にたった5万年前に誕生した人類は、「火」を使うことで文明を育てながら、無数の動植物と共存してきた。そして260年前、人間は蒸気機関を発明して「化石燃料」の大量消費時代に入った。以来、地表の異変が進行しながら今日に至っている。もしかすると、この化石燃料イクオール「CO2」は、人類第二の「禁断のリンゴ」であったのかも知れない。
 エルニョーニョ、ラニーニャ現象、と聞きなれない言葉が新聞を賑わしているが、要するに地球上の異常気象の学者用語で、地球規模の気象変化に変わりは無い。誰が何と云おうと、地球全体の異常化は進行している。その行き着く所は不明であるが、年毎に住み辛い環境になりつつあることだけは確かである。米中両公害大国には関心が無い「CO2削減問題」も、鳩山元総理が国連で25%自主削減の大法螺を吹いたが、世界の指導者も日本の後継総理さえも、まるで興味を示さないで「空手形」に終わった。
 しかし、近来の異常気象の進行は現実であり、実際に多くの人間と動植物に災害を与え続けている。この現象を人類は「神の警告」として、謙虚に、そして真摯にに受け止め、叡智を絞って対策を講じる必要がある。この美しくて掛け替えの無い地球を、子孫のみならず、宇宙の奇跡として、永遠に存続させる努力をすべきである、と思うのだが・・・。
 今回、オーストラリアの全国規模的な大災害を見ていて、オーストラリア人が幸せであると思ったのは、ジラード首相も野党の党首も、QLDの州首相も、災害発生の翌日には連れ添って現地に入り、ヘリコプターで被害状況を実見し、次々と被災者と会話を交わしながら、矢継ぎ早に救済措置指令を出していたことである。真の「ステーツマン」の姿を見て感動したものである。と同時に、「果たして日本では・・・」と無い物ねだりをしてみたが、「所詮、無理な願いだ・・・」と諦めて自棄酒代わりのワインを飲み始めた。

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